千田泰広「Myrkviðr 〔ミュルクヴィズ〕」

この作品は一見、宇宙や天体の動きを再現したかのようですが、何かを表わしている訳ではありません。人にとって最大の体験は何か。それが作品の目指すものです。そしてそれは人間の知覚の可能性を探ることに繋がっています。

 

空間と光と時間が体性感覚に与える影響に関して、山岳や洞窟、建築などの空間に関するフィールドワークを行い、その体験を基に要素を極限まで削ぎ落とし、作品は構成されています。それが宇宙のイメージに似るということは、宇宙を見るマクロ的視点は、具体的な事象を削ぎ落としたものだと言えるのではないでしょうか。

 

作り手は制作の過程において、時に殆ど全ての労力を手仕事の痕跡を消すことに費やします。感覚のみを伝えるために、またはそれがもとからあったかのように見せるために。近づいて良く目を凝らせば、そこに何らかの痕跡が見つかるかもしれません。それは遠い星を眺め、そこに存在する生命を想像することと、どこか似てはいないでしょうか。

 

何も表わしていない点において、この作品は宇宙と似ていると言えるかもしれません。ここ で言う宇宙とは、大気圏の上の空間のことではなく、自ら然る存在 - 自然を指します。自然は何も表さないがゆえに、何も求めないがゆえに、人の介入を無条件に許します。私は人でありながら自然に近いものを作りたいと考えています。人が自然の在り様を模倣することには意味があるでしょうか。人がその内部にある、自然の一部としての存在を発揮するとき、人はその人の内部に宇宙に触れたときのような感動をみるのではないでしょうか。

 

Although this work seems to have reproduced the universe, it is not true. Whatis the greatest experience for people? This work trying to answer thatquestion. And it is same as exploring the possibility of human perception.

 

I am researching influence of space, light and time on somatosensorysensation by doing fieldwork such as mountaineering or caving. Based onthese experiences, reduce elements from that, this work is composed. Whythat result was close to the image of the universe?

 

In the process of creating, artist sometimes spends almost all of his efforts toerase the trace of hand work. To convey only the sensation, or to make it lookslike it was there from the beginning. As you watch this work carefully, sometraces of hand may be found there. It might be same thing as looking at adistant star and imagining a living things on there.

 

In terms of representing nothing, this work may be said to resemble theuniverse. The universe means nature here. Since nature does not expressanything, does not ask for anything, it permits human interventionunconditionally. I would like to make something close to nature. Does itmeanfull for people to imitate nature? When people exerts his existence aspart of the nature, people will see the universe inside of that person.

【アーティスト略歴】

千田 泰広(ちだ やすひろ)

 

高山登山やアイスクライミングなどのフィールドワークを行い、「空間の知覚」と「体性感覚の変容」をテーマに制作。

世界最高峰のライトフェスティバル、ALFに2017、2018参加。国際ライトアートアワードファイナリスト(2019)。Artdexにて世界の9人のライトアーティストに選ばれる。フランス最大のシャルトリューズ修道院での展示(2018)。 チェコ最大のアートフェスティバルSIGNALにアジア圏より初選出(2016)。スロバキア最高の芸術祭ヴィエラノック(2018)。Wonderspaces全米ツアー(2019~)。上海ライフギークアワード空間賞(2018)他、各国を代表する芸術祭に数多く参加している。


Performed fieldworks such as high mountain climbing or Ice climbing. Creating immersive installation works on the theme of “consciousness of space” and “change of somatic sensation”.

Participants of Amsterdam Light Festival 2017 and 2018, one of the most popular light art festival in the world. Finalists of the International Light Art Award in Unna, Germany. Featured 9 top light artists in the world in Artdex. 1st Asian who was selected SIGNAL, the largest art festival in the Czech Republic. Biela Noc, the top art festival in Slovakia. One of the selected artists of 100 years festival at the Czech Republic with Mucha’s Slav Epic. Exhibition at the Largest La chartreuse monastery in France. Wonderspaces, the U.S. tour from 2019. Cooperated works with National Astronomical Observatory of Japan or Jaxa(Japan Aerospace Exploration Agency). Many awards. Many lectures and workshops have been held. Connects residences and art festivals and contributed to the construction of a network trans-country.

Planning to create an Art Park called “Kalama park” as a life work now. 

 

website: http://chidayasuhiro.com


【展示情報】

展示会場:セメント工場跡地 (熊毛郡南種子町中之上1767)

     ※南種子町多目的広場近く

展示時間:毎日 18:00 - 22:00 (夜間のみの展示となります。)

料金:無料


宇宙 × 芸術 × 種子島

宇宙の島で宇宙をテーマにした芸術祭が目指すのは、新しい何かを発見するような宇宙芸術祭です。 この芸術祭は、種子島が持っている様々な特性がクロスオーバーする芸術祭になるだろうと考えてい ます。種子島の要素とは、宇宙であることに加えて、豊かな自然、古代にまで遡る歴史と伝統、幅広い食文化など上げれば数多くあります。そこに未来への挑戦ともいえる、我が国の宇宙開発の拠点施設が存在することに運命的なものを感じざるを得ません。新しいものと古いものが、時間軸を超えて 同居しているのが種子島なのです。そこで「宇宙」とは、我々が暮らす地球と生命、果てしなく続く 時間について問い直す、重要なキーワードであることがわかります。「芸術」とは、人間にとって根源 をとららえるための手段です。無限の宇宙を思いながら自分自身の足元を見つめて見たら、私は何者なのか?という疑問が湧いてくることでしょう。宇宙科学と芸術、種子島という地域性。異なる背景を持っていたとしても、それぞれの分野にこだわらず、自由に交差することによって、新しい展望が見えてくるのではないかと思っています。

種子島宇宙芸術祭 総合ディレクター 森脇裕之