篠田守男 GT8215「世阿弥」

この作品の中央にあるオブジェは、数多くのワイヤーによって吊り下げられ、空中に浮かんでいます。オブジェを浮かせているのは、ワイヤーにつながるおもりの重力によるものです。

 

篠田守男は、戦後日本の彫刻の流れを象徴する彫刻家の一人です。1950年代以降は、日本でもテーマも素材も芸術家の発想と感性に委ねる、新しい抽象彫刻が本格化しました。そのなかで篠田はアートとデザインと社会をつなぐ活動に目覚め、金属の構造体をワイヤーの張力で中に浮かせたTC(テンション&コンプレッション)シリーズの作品に取り組み、国際的に注目を浴びてきました。

 

この作品『GT8215「世阿弥」2017』は、彼が長期にわたって取り組んできた支柱のテンションを離れて、浮遊するかたちがおもりに身をまかせて、より自由になっていく未来の彫刻を示しつつ「重力の恩寵」シリーズと名づけられています。

【アーティスト略歴】

篠田守男(しのだ もりお)
1931年東京都生まれ。筑波大学名誉教授・彫刻家。鋼鉄線の張力と圧力で金属塊を中空に固定させるTC(Tension and Compression)シリーズで知られる金属彫刻で、奇妙で不思議な空間を創出。日本国際美術展、宇部市現代彫刻展などに出品。1966年ヴェネツィア・ビエンナーレ展に出品、第9回高村光太郎賞を受賞。第1回現代日本彫刻展神奈川県立美術館賞、第2回彫刻の森美術鑑賞、第4回朝倉文夫賞など次々に受賞。2000年には国際彫刻センター(ISC)優秀彫刻教育者賞をアジア人として初受賞。



【展示情報】

展示会場:種子島宇宙センター科学技術館

展示期間:常設(営業時間:9:30〜17:00 ※7月・8月は9:30〜17:30)

※休館日:月曜日(月が祝日の場合は火。8月は原則無休)

料金:無料


宇宙 × 芸術 × 種子島

宇宙の島で宇宙をテーマにした芸術祭が目指すのは、新しい何かを発見するような宇宙芸術祭です。 この芸術祭は、種子島が持っている様々な特性がクロスオーバーする芸術祭になるだろうと考えてい ます。種子島の要素とは、宇宙であることに加えて、豊かな自然、古代にまで遡る歴史と伝統、幅広い食文化など上げれば数多くあります。そこに未来への挑戦ともいえる、我が国の宇宙開発の拠点施設が存在することに運命的なものを感じざるを得ません。新しいものと古いものが、時間軸を超えて 同居しているのが種子島なのです。そこで「宇宙」とは、我々が暮らす地球と生命、果てしなく続く 時間について問い直す、重要なキーワードであることがわかります。「芸術」とは、人間にとって根源 をとららえるための手段です。無限の宇宙を思いながら自分自身の足元を見つめて見たら、私は何者なのか?という疑問が湧いてくることでしょう。宇宙科学と芸術、種子島という地域性。異なる背景を持っていたとしても、それぞれの分野にこだわらず、自由に交差することによって、新しい展望が見えてくるのではないかと思っています。

種子島宇宙芸術祭 総合ディレクター 森脇裕之